Good Service

Good Service
DX時代における“本当に使いやすい”サービス作りの原則15

http://www.bnn.co.jp/books/10777/

サービスとは誰かが何かをすることを助けることである。

この定義に基づき、良いサービスを提供するための15の原則を掲げる。システム開発に当たっての要点としても考慮しておくべきポイント。

  1. 見つけやすい
  2. 目的が明確である
  3. ユーザがサービスに期待することを定義している
  4. ユーザが自分の目的を果たせる
  5. ユーザに馴染みある仕組みできのうする
  6. 予備知識がなくても利用できる
  7. 組織構造にとらわれない
  8. 必要最小限の手順で目的達成できる
  9. 首尾一貫している
  10. 袋小路がない
  11. 誰もが平等に利用できる
  12. ユーザとスタッフの正しい行動を促す
  13. 変更にすばやく対応できる
  14. 法定理由を明確に説明する
  15. 対人サポートを受けやすい

ポストモーテム みずほ銀行システム障害 事後検証報告

ポストモーテム みずほ銀行システム障害 事後検証報告
価格 1,980円(税込)
ISBN 9784296110919
発行日 2022年03月22日
著者名 日経コンピュータ
発行元 日経BP
ページ数 312ページ
判型 4-6

https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/22/284610/

みずほ銀行の一連のシステム障害に関する検証報告を取りまとめたもの。
第三者委員会は、システムの構造や仕組みよりもむしろ運用する人的側面に問題があったという報告を残している。しかしガバナンスの観点での記述がほとんどなく、コンプライアンス意識が欠如していたとか品質管理の検証が不足していたという総花的な記述に加え、システムの開発や運用面での「これが足りなかった」「こうであれば・・・」という現場での失敗の説明が中心となっている点は、残念である。役員の選任や予算のプレッシャや、あるいは意味を喪失しつつある窓口業務などがどのように経営陣に捉えられて、システム構築や運用に与えた影響が、最も重要な議論点であるはずだ。


フォン・ノイマンの哲学

フォン・ノイマンの哲学

ノイマンといえば、現代のコンピュータの基本原理「ノイマン型コンピュータ」をアメリカで開発した人物として知られるが、日本との関わりでは原爆製造で必要な計算を速めたという意味では複雑な感情を抱く人もいるだろう。

本書は、ノイマンの一生を誕生の経緯から幼少時の天才ぶり、第二次大戦時のユダヤ人としての運命と米国に渡った経緯、などなど彼の生涯をとても興味深く描いている。伝記として読んでも面白い。

しかし副題に「人間のふりをした悪魔」とあるように著者は非常にネガティブな感情を抱いているようだ。その辺りを踏まえつつ読み進めていったが、天才ぶりはよく伝わってきたが悪魔としてのノイマンはわずかな記述で触れているに過ぎない。

「科学優先主義、非人道主義、虚無主義」が彼の根底の考え方だと断定p175しているが、「我々がいま作っているのは怪物で・・・科学者として科学的に可能だとわかっていることはやり遂げなければならない」と妻の前で話したことや、ロスアラモスで非人道的兵器の開発に苛むファインマンに対し「我々が今生きている世界に責任を持つ必要はない」と語ったという、それだけの事実をもって、彼の哲学を論じようとしているところにはかなり無理があろう。

むしろ、人間としての苦悩も、生きるための妥協もあったはずで、そのようなコンテキストの中で彼の発言を捉えるほうが、人物をより浮き彫りできたのではないか。
読後感として、著者は本来ノイマンという人物に好感をもっており、むしろ無理やりノイマンを「悪魔」に仕立て上げなければならない事情でもあったのかと邪推してしまうくらい、取ってつけたような位置づけなのだ。


改訂版システムのはなしー複雑化・多様性へのチャレンジ


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お馴染みとなった大村先生の「はなしシリーズ」。
日本ではシステムと言うと情報処理システムのことを指す場合が多いが、本来のシステムの使い方ではないということや、情報処理システムといってもそれは誤りである点をつくところから始まる。
システムとは、「多くの要素が互いに関連を持ちながら、全体として共通の目的を達成しようとしている集合体」という考え方に立って全体が著述される。
システムの反対語はカオス(混沌)であるなど、いつもながらの語り口調で気軽に、しかも深いところが読める。


プラトンとナード

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タイトルは「ナード」(つまり、オタク)だが、人と技術の創造的連携というサブタイトルが示すように、人工知能時代を論ずる真面目な情報論。

自然の法則は必ずしもデジタルな表現はできないという点と、ゆえに人との協調が必要であるという点を、半導体のオン・オフの仕組みから紐解いていき、ハード、ソフト、情報と議論を発展させ、決定論や蓋然性/可能性の議論も織り交ぜ・・・と、頭をぐちゃぐちゃにさせられる疲れる内容。
第7章の情報(エントロピー)の話や、第11章の蓋然性/可能性は、ここのところ興味を持っている内容なので、この章だけでも楽しく読める。
少しの技術的な知識があったほうが読みやすいが、議論の展開上から技術自体の情報的な本質をも解説しているので、むしろ技術者が「意味」を問う際には参考にできるのでは。
人工知能、恐れることもないが舐めてもいけない。人の創造性を助けるために人工知能を使うという考えには得心。