監査法人の原点[新装改訂版]

監査法人の原点[新装改訂版]

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著者とは同窓で専門学校でも一緒に勉強していた時期があるが、永年疎遠となっていたところ本書を見つけたので読んでみた。

監査を適切に遂行するためには、監査人である公認会計士が独立した専門家であるべきことは言うを待たないが、著者はさらに踏み込んで自由職業人たれと主張する。背景には、品質管理に必要な組織の体制と現場の判断をする業務執行社員との力関係のバランスを得るための適正規模として30人くらいの組織がよいとしている。

著者の業務戦略としての納得感はあるが、現実問題として世界規模の企業が沢山存在し、上場企業が4千社近くもある市場は日本独自の環境であり、これに業界としてどう対応していけばよいかという著者のビジョンは示されていない


行列簿記の現代的意義ー歴史的経緯と構造の視点から

2021年2月1日読了

行列簿記という言葉を知る人は、会計人の中でも研究者か会計情報システムの理論的な側面に関心がある人に限られるかもしれない。その行列簿記についての歴史と、コンピュータデータベースとの関係性を研究したもので、本書は著者の博士課程の研究がベースになっている。

自分が興味関心があったのは、行列的な簿記処理ではなく、まさに線形代数としての行列を用いた簿記や会計処理についてであったが、その言及は期待ほどは含まれていなかった。

もっとも管理会計に行列簿記を活用しようという著者の視点は、それを統計分析で使えると考えている自分の考えと繋がるところがあるはずなので、さらなる研究を期待する。



Algebraic Models for Accounting Systems

Algebraic Models For Accounting Systems
Salvador Cruz Rambaud Jose García Perez Robert A. Nehmer Derek J. S. Robinson
World Scientific Pub Co Inc

Twitterでどなたかが触れていた本で、線形代数(行列)を使って簿記の仕組みを表現しようとする試み。
求めていたテーマずばりなので、高価だがAmazonUSに発注して読みはじめたが、もとより英語なので読みづらいが記号での解説が多くて途中で挫折。
最後に具体例で説明しているところも前半は理解できたが後半は難解。
自分が検討している「仕訳の統計的解析」の方向感は間違っていないことに確信が持てたという点で、本書を購入した意義は深かった。


知の統計学3

学生向けの統計学の本なのだが、経済との繋がりを重視した解説を試みているのが特長。
サブタイトルに「生命保険から証券投資、会計監査まで」とあるように、最後の第九章、第十章は会計監査とサンプリングに関する説明で、ベイズ理論にまで触れている点は斬新な印象を持つ(他の章は未読。)。
これが、90年代に出版されている点は驚きだが、この辺の理論について実務家の間ではあまり理解が普及していない点は残念ではある。