リスクコミュニケーション 多様化する危機を乗り越える

リスクコミュニケーション 多様化する危機を乗り越える

https://www.heibonsha.co.jp/book/b596103.html

リスク・コミュニケーションは危機管理における4つの機能のうちの一つである。他はインテリジェンス、セキュリティ、ロジスティクスである。

危機管理は階層構造で捉えるべきで、自助ー互助ー共助ー公助である。

リスク・コミュニケーションとはリスクが顕在化する前に対処するものであり、実際に有事となった場合にはクライシスコミュニケーションが求められる。

危機管理には全ての事象を想定して対処するというオールハザードアプローチが必要で、我々はリスクを選ぶことはできない。具体的な対処は各ハザードに対して学際的方法(都市工学、心理学、経済学、法学、情報学などなど)方法で検討される。


地形で読む日本 都・城・町は、なぜそこにできたのか

地形で読む日本 都・城・町は、なぜそこにできたのか
9784532264673
日経BP 日本経済新聞出版本部

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784532264673

現代の都市の成り立ちについて、地図や地形を用いて歴史的経緯から紐解く。
街が自然発生的にできているのではなく、為政者が意図がはじめにあった上で、後から街へと発展していく過程が分かる。
他方、戦後日本で都市を作ったと言えるのは筑波学園研究都市くらいかもしれない。


村野藤吾と俵田明 革新の建築家と実業家

村野藤吾と俵田明 革新の建築家と実業家

堀 雅昭(ほり・まさあき)

320頁
978-4-86329-228-4
定価 2200円 (+税)
2021.8.15発行

https://genshobo.com/archives/10506

村野藤吾は小倉出身の世界的建築家であり戦前の若い頃に宇部市の渡辺翁記念会館を設計した人物である。また最後の作品とされるのが同じく宇部市の宇部興産ビル(渡辺翁記念会館の斜め前にある)という縁。
俵田明は宇部興産創業にも関わり、本書では村野のスポンサーとして位置づけられている。

また著者は宇部市で活躍する郷土史家でもあり地元に関する作品を多く書いている。

本書は宇部市制施行百周年となった2021年に出版され、明治から石炭によって発展していった宇部の近代史を二人の人物を通じて学ぶには良い教材となる。宇部とドイツのナチスとの関係や作品への影響などにも触れられており、決して地元讃美だけの内容ではないが、一地方都市の栄枯盛衰を知る上でも役に立つ。

尖った芸術家に対してパトロンが果たす役割も本書を通じて知ることができよう。


犬神家の戸籍 -「血」と「家」の近代日本

犬神家の戸籍
-「血」と「家」の近代日本-

遠藤正敬 著

http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3609

あの横溝正史原作、犬神家の一族に出てくる人間関係を戸籍という視点から題材に、戦前戦後に亘る戸籍制度の変遷が犬神家の財産相続に与えた影響を、真面目に論じている。

日本の戸籍制度は「家長」が絶対的な権限を持っていると言われているが、その意味するところは婚外子の扱いや養子縁組の中で明らかにされる。

婿養子という制度が世界的に見て極めて珍しい(儒教の影響があるとはいえ、韓国や中国ではそういった制度はない)ことなど、目から鱗が落ちる話が満載。

それ以上に、この解説を読んだ後に「犬神家」を読むか観るかすれば、また新たな楽しみ方ができるのではないか。なにせ、著者はこの原作をとことん読み込み映画と原作との違いなども随所に触れている。


日本酒の世界

日本酒の世界
講談社学術文庫
ニホンシュノセカイ
著:小泉 武夫

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000358922

日本酒の世界に例を見ない麹菌を使うという特徴的な製法が歴史上どのように醸成されてきたか、日本酒が生活や社会の中でどのような関わりを持っていたか、酒造がビジネスとして発展してきた歴史などを、酒造家に生まれて発酵学を修めた著者が解説。

著者は日経新聞などで食に関するコラムを連載していることで知られている。