テクノロジーの進化と監査

2020年9月10日読了

日本監査研究学会の研究成果として学会発表されたのが2019年秋の学会だが、それを出版物としてまとめたものである。

監査における情報技術の利活用は、監査対象である会計システムの発達に伴って議論される歴史があるが、最近の監査の議論は経理業務におけるシステムの発達を飛び越えて、監査そのものに情報技術をどう活用するかという議論に発展している。

本書は日本を含む各国の規制団体などが発行した情報技術と監査に関するレポートなどを研究として集大成したもので、この分野の研究をするのであればポータルとして活用できるものである。

小俣の論考「AI時代に必要とされる監査人の能力」が興味深い。
1.ビジネスに対する鋭い洞察力
2.技術とデータから情報を得る能力
3.ソフトスキル
4.会計およびガバナンスとAIのハイブリッドなスキル
いずれもこれまでの監査で必要とされている能力であり何も目新しいものはない。特に4はAIという言葉を使っているので新しい概念のように思えるが、これまでの「情報技術」がAIに置き換えられているだけで、そのAIの実態は新しい情報技術に過ぎないのである。

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