現代戦争論―超「超限戦」- これが21世紀の戦いだ

現代戦争論―超「超限戦」- これが21世紀の戦いだ -
渡部 悦和、佐々木 孝博

https://www.wani.co.jp/event.php?id=6695

現代の戦争は兵力を持って敵国に侵攻し相手をねじ伏せるという単純なものではなく、情報や貿易や金融など手段となるあらゆる方法を通じて相手に圧力をかけていく「超限戦」という考え方を採る。

この超限戦については中国の軍人がまとめたものがあるが、本書はそれを受けて、米国、中国、ロシアが現代戦をどのように準備しているかを解説しつつ、日本の置かれた無防備な現状を憂うものである。


偶然の科学

偶然の科学
著者 ダンカン・ワッツ
翻訳 青木 創
ISBN 9784150504007

https://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/90400.html

スモールワールド理論の著者でもある。
常識は常に成り立つわけではなく、予測は必ず外れる。
人が偶然と信じることの構造を知れば、違った形で世界が見えることを説く。


戦争はいかに終結したか

戦争はいかに終結したか
二度の大戦からベトナム、イラクまで

千々和泰明 著

https://www.chuko.co.jp/shinsho/2021/07/102652.html

偶発的であれ意図的であれ、一旦戦争が始まってしまえば、どちらかが完全に壊滅的状態になるまで終わらないというわけではない。そこには外交的努力や経済的な力学も作用し、「うまい終わり方」が双方にあるはずである。

しかし戦争を議論するとき、抑止の議論、防御、攻撃の方法、武器や兵站、第三国との同盟関係、などが話題に上がるが、どのように終わらせるかという議論は寡聞である。そもそも始まっていない戦争をどう終わらせるかという議論は無意味なのかもしれないが、現下のウクライナとロシアの情勢を見ると、むしろこの戦争はどう終わるのかという点がとても気になるところである。

著者は、紛争原因の根本的解決と妥協的和平の間で揺れ動くという視座で、本書での戦争終結を議論している。
様々な研究の中で、戦争終結を議論されている類型は、

  • 権力政治的アプローチ(つまりパワーポリティクス)ー力により相手を打倒した側が勝つという考え方。これには損害を受忍できる限界がより大きいほうが勝つという。

  • パワーバランスの変化ー同盟関係などが破棄される、あるいは第三国が介入するなどで不利になる側が終戦を求めるという立場。

  • 合理的選択論的アプローチ(妥協)ー交戦勢力間の合理的な費用対効果分析の帰結点で戦争が集結するという考え方。

  • 合理的選択論的アプローチ(紛争の根本原因の除去)ー無条件降伏など

いずれも一長一短あり当事国は、現在の犠牲の拡大と将来の危険の大きさとのジレンマに陥ることになる。著者はこのジレンマの中にリスクのバランスを見出して戦争終結の型を議論しようとする。

題材として、第一次大戦のロシアとドイツ、第二次大戦のドイツと英国そして日本、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争が取り上げられているが、その背景をよく知らないと読むのが難しいと感じた。


村野藤吾と俵田明 革新の建築家と実業家

村野藤吾と俵田明 革新の建築家と実業家

堀 雅昭(ほり・まさあき)

320頁
978-4-86329-228-4
定価 2200円 (+税)
2021.8.15発行

https://genshobo.com/archives/10506

村野藤吾は小倉出身の世界的建築家であり戦前の若い頃に宇部市の渡辺翁記念会館を設計した人物である。また最後の作品とされるのが同じく宇部市の宇部興産ビル(渡辺翁記念会館の斜め前にある)という縁。
俵田明は宇部興産創業にも関わり、本書では村野のスポンサーとして位置づけられている。

また著者は宇部市で活躍する郷土史家でもあり地元に関する作品を多く書いている。

本書は宇部市制施行百周年となった2021年に出版され、明治から石炭によって発展していった宇部の近代史を二人の人物を通じて学ぶには良い教材となる。宇部とドイツのナチスとの関係や作品への影響などにも触れられており、決して地元讃美だけの内容ではないが、一地方都市の栄枯盛衰を知る上でも役に立つ。

尖った芸術家に対してパトロンが果たす役割も本書を通じて知ることができよう。


地図リテラシー入門

地図リテラシー入門―地図の正しい読み方・描き方がわかる

著者名 羽田康祐
ISBN 978-4-86064-666-0
ページ数 287ページ
サイズ 四六判 並製
価格 定価2,090円 (本体1,900円+税10%)
発売日 2021年08月26日発売

https://www.beret.co.jp/books/detail/806

地図を眺めているといつの間にか数時間が経過するほど地図が好きな自分としては、期待する内容だった。
丸い地球を平面に描くという固有の難題を、どのような方法によって解決しているか、地図がどう作製されているか、比較的技術的な視点で書かれているため、参照文献として使える。

単に機械的に作られているわけではなく目的に応じてデフォルメされたりしているところもあり、現実の世界を利用者にどのように伝えるかという点では「作品としての地図」を意識させられる。

最近のウクライナ情勢を解説するマスコミがメルカトル図法による地図を用いることの問題などが目に見えてくる。