リスクコミュニケーション 多様化する危機を乗り越える

リスクコミュニケーション 多様化する危機を乗り越える

https://www.heibonsha.co.jp/book/b596103.html

リスク・コミュニケーションは危機管理における4つの機能のうちの一つである。他はインテリジェンス、セキュリティ、ロジスティクスである。

危機管理は階層構造で捉えるべきで、自助ー互助ー共助ー公助である。

リスク・コミュニケーションとはリスクが顕在化する前に対処するものであり、実際に有事となった場合にはクライシスコミュニケーションが求められる。

危機管理には全ての事象を想定して対処するというオールハザードアプローチが必要で、我々はリスクを選ぶことはできない。具体的な対処は各ハザードに対して学際的方法(都市工学、心理学、経済学、法学、情報学などなど)方法で検討される。


地形で読む日本 都・城・町は、なぜそこにできたのか

地形で読む日本 都・城・町は、なぜそこにできたのか
9784532264673
日経BP 日本経済新聞出版本部

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784532264673

現代の都市の成り立ちについて、地図や地形を用いて歴史的経緯から紐解く。
街が自然発生的にできているのではなく、為政者が意図がはじめにあった上で、後から街へと発展していく過程が分かる。
他方、戦後日本で都市を作ったと言えるのは筑波学園研究都市くらいかもしれない。


現代戦争論―超「超限戦」- これが21世紀の戦いだ

現代戦争論―超「超限戦」- これが21世紀の戦いだ -
渡部 悦和、佐々木 孝博

https://www.wani.co.jp/event.php?id=6695

現代の戦争は兵力を持って敵国に侵攻し相手をねじ伏せるという単純なものではなく、情報や貿易や金融など手段となるあらゆる方法を通じて相手に圧力をかけていく「超限戦」という考え方を採る。

この超限戦については中国の軍人がまとめたものがあるが、本書はそれを受けて、米国、中国、ロシアが現代戦をどのように準備しているかを解説しつつ、日本の置かれた無防備な現状を憂うものである。


偶然の科学

偶然の科学
著者 ダンカン・ワッツ
翻訳 青木 創
ISBN 9784150504007

https://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/90400.html

スモールワールド理論の著者でもある。
常識は常に成り立つわけではなく、予測は必ず外れる。
人が偶然と信じることの構造を知れば、違った形で世界が見えることを説く。


戦争はいかに終結したか

戦争はいかに終結したか
二度の大戦からベトナム、イラクまで

千々和泰明 著

https://www.chuko.co.jp/shinsho/2021/07/102652.html

偶発的であれ意図的であれ、一旦戦争が始まってしまえば、どちらかが完全に壊滅的状態になるまで終わらないというわけではない。そこには外交的努力や経済的な力学も作用し、「うまい終わり方」が双方にあるはずである。

しかし戦争を議論するとき、抑止の議論、防御、攻撃の方法、武器や兵站、第三国との同盟関係、などが話題に上がるが、どのように終わらせるかという議論は寡聞である。そもそも始まっていない戦争をどう終わらせるかという議論は無意味なのかもしれないが、現下のウクライナとロシアの情勢を見ると、むしろこの戦争はどう終わるのかという点がとても気になるところである。

著者は、紛争原因の根本的解決と妥協的和平の間で揺れ動くという視座で、本書での戦争終結を議論している。
様々な研究の中で、戦争終結を議論されている類型は、

  • 権力政治的アプローチ(つまりパワーポリティクス)ー力により相手を打倒した側が勝つという考え方。これには損害を受忍できる限界がより大きいほうが勝つという。

  • パワーバランスの変化ー同盟関係などが破棄される、あるいは第三国が介入するなどで不利になる側が終戦を求めるという立場。

  • 合理的選択論的アプローチ(妥協)ー交戦勢力間の合理的な費用対効果分析の帰結点で戦争が集結するという考え方。

  • 合理的選択論的アプローチ(紛争の根本原因の除去)ー無条件降伏など

いずれも一長一短あり当事国は、現在の犠牲の拡大と将来の危険の大きさとのジレンマに陥ることになる。著者はこのジレンマの中にリスクのバランスを見出して戦争終結の型を議論しようとする。

題材として、第一次大戦のロシアとドイツ、第二次大戦のドイツと英国そして日本、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争が取り上げられているが、その背景をよく知らないと読むのが難しいと感じた。