坂の町・江戸東京を歩く

大石学(著)PHP選書(2008年)
東京には坂が多い。特に下町と山の手との境目は武蔵野台地の東端であり、必然的に坂がある。
台地の削るように川ができればそこにも坂が出来ることになる。
本書はそういった東京の坂にまつわる歴史や名前の由来を解説した本である。新書版とはいえ、400ページを超す厚さである。
冒頭では、自然、武士、町人、寺社、事件にそれぞれ由来する、テーマ別の坂である。その後の章から、区別に坂が説明されているため、若干重複しているところがある。
執筆者は、坂それぞれで異なっているため、読んでいると文章の書きぶりが異なる。淡々と坂の由来などを説明をしている文章と、その坂にまつわる歴史的事件や時代背景などをも含めて説明しているケースとがある。もちろん後者の方が面白いが、坂の説明からは逸脱しているかもしれない。
残念なことに、地図は掲載されているものの、二次元図であるため、坂の立体感が表現できていない。あくまでも文章の補助的なものなのだろう。むしろ、行って自分で坂の雰囲気を味わってくださいという意図かもしれないが。


江戸の大普請—-徳川都市計画の詩学

タイモン・スクリーチ(著)森下 正昭(翻訳)講談社(2007/11/29)
江戸の歴史は、太田道灌が中世に城を築いてから始まるが、本書は家康から始まる江戸時代における「江戸」という街とブランドをどのように形成して行ったかという話である。
原文は英語らしいが、翻訳書とは思えないような読みやすい日本文で書かれている。

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