もうだまされない 新型コロナの大誤解

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コロナについては客観的な分析をきちんと報道しないどころか不安を煽り、エセ専門家たちが便乗して発言するので、何が正しいことなのか分かりにくくなっている。

著者は仙台の感染症(インフルエンザ)の専門医であり、一応は信頼しても良いだろう。

著者のスタンスは、感染症を舐めたら手痛い眼に遭うがかと言って過剰に恐れたり神経質になる必要はないというところにあり、本書ではインフルエンザの経験にこれまでのコロナの知見を加味して、感染リスクを具体的な行動の中からどう抑えればよいかを、素人向けに解説している。

要点は、コロナウィスルの感染は「空気感染」であり接触や飛沫では感染しないというところだ。空気感染とは、エアロゾル(空中に雲のように漂うとても小さな粒子)の状態で文字通り重量で落ちたりしない状態が最も危険という。すなわち、これは風通しの良いところではほぼ感染しないということを意味するため、屋外や換気の良い室内は感染リスクは低いということになる。

これは重要ポイントで、たとえば触ったところを消毒したり手袋をするのは接触感染の予防なので関係ないし、フェイスシールドやアクリル板はエアロゾルを防がないので意味がないことになる。

ラーメン店などは湯気がこもらないようにかなり強い換気をしているためエアロゾルが滞留することはまずないが、カラオケは音がもれないように気密性が高くなっているので空気が籠りやすいなど、具体的なリスクが対策とともに記されている。

信じるか信じないかは読者の判断だろうが、このような知見を専門家は積極的に提示して、公に議論してもらいたい。もちろん反論や反証があるからこそ議論が正当であるとも言えるわけであり、いたずらに保守的になってしまうのは、国民に無理ではなく無駄な負担をかけないためにも必要なことだろう。

前々から飲食店のアルコール提供を禁止することには強い抵抗があるが、ほんらい取り組むべきは、アルコールを飲む人への正しい知識を提供して「静かに飲め」ということだけだ。まして一人酒など歓迎すべきだろう。