吉田松陰 異端のリーダー

吉田松陰 異端のリーダー (oneテーマ21)
津本 陽
KADOKAWA/角川学芸出版

2015年9月1日読了

津本陽の筆致は躍動感あり「信長」を扱った「下天は夢か」は秀逸だと思う。そういう期待を持って、著されている松陰像を読むと、いまひとつ。新書という紙幅制限もあるが、著者自身が松陰に魅力を感じていない。

さもありなん。既に冒頭に著されているように、松陰とは著者にとって「修身の教科書に出てきたイデオローグ」であって、戦国に活躍した謙信や信長、あるいは西郷や高杉のように幕末に活躍した人物のように興味をそそられなかった。そこで「未完成に終わった松陰を未完成のまま描きたい」となった。

イデオローグからの脱却、教育者松陰というイメージの払拭、脱藩したりペリーの黒船を追いかけたりした観念のために行動する人(軽挙妄動)、その先にあるものを津本なりに書こうとするからこそ未完成なのだろう。

書いてもらえるようになるには、あとどのくらい待たねばならないのか。

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