嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え
岸見 一郎 古賀 史健
ダイヤモンド社

2015年12月30日読了

アドラーなる心理学者の名前すら知らなかったが、たまたま書店で見つけた。タイトルから想像するのは、「他人の価値観で生きずに自分自身の考えを貫け」というありきたりのメッセージだが、実際の内容はやや異なる。アドラーの個人心理学の考え方を、著者とその師匠が師弟関係に基づき対話して得たものを、ソクラテスとプラトンの議論をモチーフにして、哲学者と青年とのダイアログとして全体の論述は進む。

アドラーの思想はフッサール現象学にも通ずるものがあり、過去と未来の因果の流れの中に現在を見出すのではなく、「いま、ここ」に真摯に向き合い、行為よりも存在、他からの賞賛よりも他への貢献、他人の期待を他人の課題として自分の課題と分離して捉えることが、人間としての幸福をもたらすという。そして、幸福(人生の意味)とは自分が自分自身にもたらすもので、他の誰からも何からも与えられるものではない。

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