世界はシステムで動く ― いま起きていることの本質をつかむ考え方

世界はシステムで動く ―― いま起きていることの本質をつかむ考え方
ドネラ・H・メドウズ Donella H. Meadows
英治出版 (2015-01-24)

2019年6月12日読了

システム思考。その言葉を知ったのはトレイニーで米国に行った時に受講したSystems Thinkingのトレーニングだった。
一日のトレーニングだったが、とても頭を使うのと英語での参加だったので、疲労困憊したことを覚えている。
システムとは、ある目的を達成するために組み合わされた機能のことだが、情報システムなどではなく社会の問題や組織に生じている問題そのものがいま起こっている状態を仕組み(=システム)と捉える。物事がなぜ「そうなる」のかを考えて、全体像を把握し、問題解決する際に近視眼的ではなく鳥瞰的に問題を捉えることができる、なかなかスグレモノの思考技術だ。

因果関係つまり原因と結果を矢印で結ぶのはよくやることだが、その結果が別の原因になっていたりするため、実際のパラメタは複雑に絡み合っている。システム思考によれば、この複雑なパラメタのつながりを絵として整理して、因-果-因-果-因-果と捉えていくうちに、元に戻って一つのループが形成されることがある。このループがぐるぐる回ることで物事のバランスが取れていたり、逆に収縮したり成長したりするということを、複数のループの関係を捉えて、解決の優先順位をつけようとする。あるいはループのなかにとても時間を要する系があったりするとそれが邪魔をして思ったような成果があがらないなども分かる。

数多くの研究から、物事には一定の型archtypeがあるということが分かっていて、それを学べばある程度は容易に問題把握が出来るようなのだが、自分の経験からはテンプレートのように型を覚えるよりも、ブレインストーミングをしながらホワイトボードにシステム思考のループを描きながら、関係者で問題解決に至る道を共有するほうに大きな意義があるように思う。

著者のメドウズは、あのローマクラブの「成長の限界」に携わった人で、その報告もシステム思考が生かされているという。

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