貝塚茂樹(著)講談社学術文庫(2004/09)
「孟子」のテキスト、訳本、注釈書は現在山のように出版されているけれども、さて興味を持って読めるものを捜すと、
なかなか見当たらない。そこで専門でもないのにその役を引き受けることになってしまった・・・・とは著者の巻頭辞である。
孔孟・老荘という風に、
孟子は孔子の弟子として孔子の教えを具体的に比喩などを用いて話しているので寓話風に読めて面白いというのは定評である。その思想は、
仕えた国王との対話が記録された形を通じて伝わってくるので、「子曰く・・・・」
で始まる論語がどうも説教されているような印象を受けると違い、第三者的に話を見ることができるところが、
落ち着いて読める理由の一つだろう。
しかし、孟子は聖人君子であった孔子と違って、人間的にやや意地っ張りなところがあった点は著者も記している。それは、
斉の国を憐憫として去るところに最もよく現れている。ここは、聖人君子も人間だなと思わせるところで、「人間かくあるべし」ではなく
「聖人もまたかくあり」を感じさせるもっとも好きな部分である。