Edgar H. Schein (原著)金井 寿宏・片山 佳代子(翻訳) 白桃書房 (2004/09)
Scheinとはどこかで聞いたことがある名前だと思っていたら、米国研修に行ったときに最初に読まされた本が、
Scheinの"Process Consultation"だった。
企業文化を理解するにはその枠組みを知る必要がある。著者は、文物(artifacts)-価値(values)-仮定
(assumptions)の3レイヤで捉えることを提唱しているのが、本書の一貫したテーマである。
文物
表面的に見て感じ取れる組織の様相である。たとえばこの会社は活気があるとか、部屋が明るいとか、カジュアルウェア、
挨拶の仕方だとか、そういうものである。一般には、平均的な文物と対象組織の違いをもって組織の文化的特質ということが多い。
「あの組織の人はいつも挨拶をしないで暗い文化だ」のような言い方をする。しかし著者は、
文物を識別するだけでは文化を理解したことにはならない。
標榜された価値
社是とかビジョンとかモットーなどと言われる、組織の価値観を言葉で表したものである。しかし企業文化を捉えるにあたって、
この標榜された価値をもって文化とは言えないとする。つまり、こういった標榜されたものは、
逆にその組織に不足しているものをあえて標榜していることが多いからだ。そこでさらに深いレイヤの理解が必要になる。
共有された暗黙の仮定
その組織に醸成された暗黙的共通の「よいこと。あたりまえのこと。」の認識である。このレイヤは、
組織にいる人はそれが当然と思っているので、あえてその組織の文化的特徴をその組織の人に尋ねても見えてこない部分である。
こういった組織文化を理解するには、定型のアンケート調査などでは識別することは難しいという。組織の中に入って、
組織の人と一緒に考えながら、「なぜ、あなたはそれが正しいと思うのですか」「なぜそういう行動をとるのですか」と逐一尋ねていきながら、
帰納要約していくのが最善かつ最短の方法のようである。これを著者はProcess Consultationと呼んでおり、
冒頭紹介した本のタイトルになっているわけである。
このアプローチを採用しているのは、「会社はなぜ変われないか」などの本を出している柴田昌治のコンサルテーションの方法論である。
上記の分類は、自分の組織観と相似しているので、本書は入りやすかった。特に「暗黙の仮定」については、自分は暗黙的行動規範
(tacit norms)と定義していた。修士論文を書くときにこの本の存在に気がついていれば、
また変わった書き方をしていただろうと思うと、いま読んだのは少しばかり悔しさが残る。