学習を促す組織文化 — マルチレベル・アプローチによる実証分析

2017年8月19日読了

購入して一年経過。副題にあるマルチレベルアプローチという概念と、学習を促す組織文化というタイトルに何やら惹かれるものがあった。

マルチレベルアプローチとは、これまでのアンケート調査が個人を対象にして変数間の相関などを捉えるシングルレベルアプローチに対して、個人と所属するグループなどの「レベル」の間の関係を捉えて見ようとする考え方。

また学習を促す組織文化とは、「組織文化」とされる考え方(調査対象者がそう考えているかどうか)と調査対象者の行動との関係を、文化と学習、個人と組織という関係で分析しようとするものである。

学術書なので、関連研究から始まり分析手法の説明が多くを割いているため、第8章と第九章とを読めば著者の研究の成果の部分を感じ取ることはできる。

インプリケーションとしては、組織の規律を守らせる文化と積極的にリスクを取る文化という相矛盾する考えをうまくチームレベルで併存させることが、成果に結びついているということと、情報共有を促すことはあまり成果とは関係ないという点であった。著者は以下のようにまとめている。

共有された特性としての組織文化が組織レベルの組織コミットメントに影響している。その組織レベルの組織コミットメントが個人の学習行動および成果に影響している。p226
組織文化は何よりも組織コミットメントの向上を目的として形成されるべきである。p227
と。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

CAPTCHA


計算式を埋めてください * Time limit is exhausted. Please reload CAPTCHA.