捨てられる銀行

2017年1月28日読了

本来は夏休みに読むはずだったが、積読山の地中に埋もれ正月になり日の目を見たため年を越してしまった。
タイトルは刺激的だが、内容はそのままであり、購買を促すためにあえてつけたタイトルではなかった。
バブル崩壊後に導入された金融検査マニュアルと自己査定の制度によって、銀行が本来あるべき顧客の事業性をコンサルして改善し必要な融資を通じて地域の経済に貢献するという形をとらなくなったことから、地域経済が衰退して行く過程を批判し、本来あるべき金融機関としての姿を取り戻そうとする事例を紹介する。
森金融庁長官の金融改革をサポートする形で書かれているが、地域金融機関にとっては言われるまでもなく重要な経営課題であることは否定できない。
本書のテーマは、「自己の存在意義を問うて変革できない組織は崩壊する」という野中の「アメリカ海兵隊」と通ずるものがある。
これまでに金融検査マニュアルによる行政も問題視されているが、本質的な解決策は銀行に本来の姿に戻れと言っている以上に提示されていない点が残念。
もともとの金融行政は「金融システムの安定化」のために護送船団方式で行政指導を通じてつぶれない銀行を演出させ、国民をして「銀行に預けていれば安心」という神話を生ませた点に注目すべきであろう。貯蓄から投資へというモットーなど、元をたどれば銀行不倒神話にあるからだ。
本来は国民側に選ばれるべき金融機関が、金を借りる立場という力学の中から、本来あるべき金融機関を国民がどのように「選択」する仕組みを作るのかという点を、もう少し掘り下げてほしかった。

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