補給戦・・・・何が勝敗を決定するのか

補給戦―何が勝敗を決定するのか (中公文庫BIBLIO)
マーチン・ファン クレフェルト(著)
佐藤佐三郎(訳)
中央公論新社


大抵の本はAmazonで買えてしまうので本屋に行く頻度が減っている(忙しくてゆっくり行く暇もないというのもある)が、それではいけないと、ふらっと寄ってみたら、棚の奥から目に飛び込んできたのが本書。
補給戦すなわち兵站についての研究である。
かつての日本軍は兵站をまったく考慮に入れずひたすら精神論で作戦を遂行していったことで知られているが、本書はヨーロッパにおける著名な戦争に纏わる兵站について記載している。
残念なことに、ナポレオンの遠征、ヒトラーのソ連出兵、ノルマンディ上陸作戦くらいしか知らなかったし、それらがどういった戦いだったかという知識もないので、なかなかくらいつきにくかった。
「戦争のプロは兵站を語り、戦争の素人は戦略を語る」という言葉が引用されているが、もともと戦略と兵站は目的と制約条件との関係にあるといってよいだろう。もちろん本書は各戦史を紐解いて兵站の重要さを訴えているのだが、一方でノルマンディ上陸作戦は兵站という側面からは、非常に緻密に練られた作戦だったが、成功したのはその計画を守らなかったからだとも言う。つまり、兵站だけではやはり戦勝はもたらされないともいう。
ビジネスの世界においても、戦略だけでは空理空論となり、リソースだけでは経営目的が失われてしまう。そういったバランス感覚の中で兵站を捉えなおすには、面白い本であった。

2 thoughts on “補給戦・・・・何が勝敗を決定するのか

  1. 面白そうなので早速注文しました。
    因みに、Amazonでこの本とセットになっている松村劭『戦術と指揮』もお薦めです。


  2. ゴンチャロフ殿
    「戦術と指揮」は本棚にありました。郵便局の振込領収書をしおりにしていたようで、98年6月あたりに読んだようです。
    「失敗の本質」もお勧めです。


Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

CAPTCHA


計算式を埋めてください * Time limit is exhausted. Please reload CAPTCHA.