「待つ」ということ

「待つ」ということ (角川選書)
鷲田 清一
角川学芸出版


まえがきからいきなり衝撃を受ける。
「待たなくてよい社会になった」
「待つことのできない社会になった」
待たなくなることで未来を視野に入れていない、つまり「いま」だけをみみっちく生きている。
意のままにならないもの、どうしようもないもの、じっと待つしかないものに対する感受性を失った現代人に対して、はっとさせる視座を提供してくれる。
結果を待つことにしても、試験の合否のようにどちらかに推測できる結果を待つ(予期)のではなく、現在のどうしようもない状況、どうなるのかさっぱり分からないような状況においてこそ、待つ(待機する)ことの意味があるではないだろうかという著者のメッセージは、この数ヶ月間がつらかった身の上を思い出して、じんわりとくるものがあった。

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