2020年3月9日読了
人はホラーをなぜ怖がるのか。そして怖がりつつもその場から逃げずにいられるのか。さらには実在しないものを想像して恐れることができるのか。
恐怖に対して多様な角度から分析を試みる哲学者が、生物学や脳科学との接続を試みながらの著述。
恐怖とは表象であり、身体が怖いと感じている反応をモニターして自分に脅威が迫っているという中核的関係主題を表象するのが恐怖。
進化の過程で、いまそこにないものに対して恐怖を抱く能力(さまざまな表象を生み出す能力、と筆者は言っている)がアドオンされてきた。→実在しないものへの恐れ。
ホラーから逃げ出さないのは、それが実在しない虚構という認知が上位から介入して、逃げるという行動に待ったをかけている。
新書400ページ以上に亘って纏められている内容はそういったことだが、それで恐怖とは何なのか。