2019年3月14日読了
著者の開発した財務情報を活用して倒産リスクと会社の信用リスクの格付を行うシステムの内容に関する解説。
モデルの開発においては、インプットとアウトプットの関係が説明可能なものであることが必要だが、これに加えて、パラメータ自身が独立でないとたくさんのパラメータを入れたところで同じものを入れているに過ぎないことになる。この点は、巷間言われている流動比率は高いほうがいいというような「神話」を否定して、4つの変数を見出しているところが、この研究の注目すべき点だ。
総資本留保利益率
総資本税引き前当期利益率
売上高金利負担率
棚卸資産回転期間
それぞれは、会計的側面と経営的側面を持っていて、順に
自己金融能力/経営者のリスク意識
資本効率/経営能力
資産効率/マーケティング能力
金融費用率/外部信用評価
となっている。
信用リスクを分析するのに、外部信用評価を表すパラメータを用いるのはやや疑問はあるが、それでも市場の信用評価を自己の信用リスクに取り込むという意味は実務では重要であろう。
残念なことにパッケージを再現しようとしても用いられているアルゴリズムが解説されていない。著者の言うようにパラメタが重要なのは分かるのだが、パラメタを活かすのはアルゴリズムだという点も強調したい。