愛とまぐはひの古事記

愛とまぐはひの古事記
愛とまぐはひの古事記

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大塚 ひかり
ベストセラーズ


古事記は当時の最高のインテリが書いた文書である。
その古事記において貫かれている「まぐはい」をテーマとした著述。
著者は源氏物語の研究で知られているが、三十代後半に心を病み、源氏の時代とは全く異なった古事記の時代の性愛を研究することで、心が安らいだという。
万葉集を読んでも今の時代からしても大らかな時代が伝わってくるが、平均寿命が20歳未満の時代にあっては、人々の意識として人類を存続させることが大きな命題としてあったし、いわんやそれが政治と結びつくことは容易に想像が付く。すなわち「まぐはう」ことは、同盟を結ぶことでもあり、婚姻することでもあり、男女が交わることでもあったはずなのだ。
ゆえに日本の国生みが、イザナギ、イザナミのまぐはいから生まれることも、何らかの同盟から始まったという話にも繋がる。
しかし、著者の書き方がなぜかお茶らけていて、実に奥深いテーマを研究しているにも関わらず、薄っぺらなものになってしまっているところが勿体ない。それが本書のよさなのかもしれないが。

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