関門の近代

関門の近代

著者は宇部市在住の郷土史家で、地元紙にも連載している著述家である。
本書はジュンク堂で別の本を探しているときにたまたま見つけたものだ。

関門(古くは馬間)海峡は山口県下関市と福岡県北九州市に挟まれたところにあるが、源平合戦で入水した安徳天皇をお祀りする歴史を持つ下関と、もともとは塩田くらいしかなく明治以降に急速に発展していく門司とが、海峡を挟んでお互いに競争して成長していく時代の歴史を綴ったものだ。

明治22年の憲法発布から昭和33年の北九州市発足までを扱い、その間の日清戦争・日露戦争・大東亜戦争・朝鮮戦争によって海峡の役割(経済的、軍事的)が大きく変わっていく中で、両市が変化していく様子は、日本全体の成長の縮図とも言える。

これまで全く知らず驚嘆した内容は、「関門県構想」であった。門司を中心とする北部九州と山口県側の下関を中心とする地域を統合して一つの県となし、残りの山口県は広島県に統合しようという構想である。日露戦争直前の国会にも出された話でおそらく日露戦争がなければ議会を通過したかもしれない。

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