経理から見た日本陸軍

経理から見た日本陸軍

著者はかつて防衛省で経理業務に関わっていた経歴があり、歴史好きと業務への関心とが相まって日本陸軍の経理の研究をするために大学院にいき研究者への道を進んだという経歴を持つ。

軍の経理に限らず、かつて経理は帳簿ツケではなくロジスティックスを扱う業務であった。つまり資源の配分(配送なども含む)を通じて円滑な業務の運営と最大限の効率に資することが経理業務の要諦である。つまり軍隊においては武器弾薬に限らず軍人の衣食住に関わるあらゆる調達を、予算制約をする大蔵省と要求する現場の軍務との間にあって、最適資源配分を目指す。

本書はこれまであまり顧みられることのなかった軍隊における細かなお金の話(それこそ、食事の内容と原価の関係など)に切り込んでいるところが斬新で、新書という形で読みやすく出された点は評価できる。

ただ残念なのは、それらがマクロな戦局とどのように絡んだのかという点、いわゆる日本軍の戦略行動が経理からどう見えたかという話はほとんど触れられておらず、どちらかというと経理の手続などが中心に議論されている。

今後の研究に期待したい。

Related posts

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


計算式を埋めてください * Time limit is exhausted. Please reload CAPTCHA.