本物

2002.8.2
「ひかるの碁」が小学生に人気らしい。
たまにTVを見たりするが、何が面白いのだろうと考えると、単にストーリ展開だけではなさそうだ。
アニメなのだが、出てくる碁盤、碁石、碁笥がかなりリアルである。
また、各キャラの碁の打ち方がいかにもそれっぽい。
さらには、画面に写される盤面が、本物の碁の棋譜であり、打つ音もまっとうである。
つまり、多少なりとも碁を打てるものから見て、なるほどと感じさせるのである。
時代劇で、囲碁のシーンがよくあるが、まず盤面の布石がめちゃくちゃである。
さらに俳優が「碁をやったことがない」というのが露骨に分かる。
お芝居とはいえ、子供の学芸会を見ているようである。
つまり、「ひかる」の人気は、本物志向にあるのではないかと思うのである。
たとえ全くの素人でも、小学生でも、対局の緊迫感や面白さが、五感を通じて伝わっているのだろう。
視聴者を侮らない制作者のこだわりが、人気の秘密なのである。
あらゆる仕事は、相手のレベルに合わせることが必要であることは言うまでもないが、
一方で、提供者が「真・善・美」という本物の価値観を追求しようという態度が求められているのだろう。
よいものは、後から味が出る。

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