「早くやれ」vs「早く言え」

早くやれ それを言うなら 早く言え
というサラリーマン川柳があったことを突然思い出した。
上司と部下との仕事の期限に対する認識ギャップを皮肉ったものだが、どこにでもありそうな風景ではある。
通常、「早くやれ」というのは、上司が部下の作業結果を検証する時間やその後の修正時間などを考えて納期に間に合うようにしようとしているのに対して、部下の側は「自分は作れば終わり」と考えているときに発生する。つまり、期限に対する認識というよりも品質に対する認識といったほうがいいかもしれない。
「早く言え」「先に言え」というのは、作業の手戻りが発生したり、予期せぬ行動を強いられた側が使う常套文句だが、そういう人は得てして他にも仕事を抱えていてそちらでも「早くやれ」といわれている状況にある。つまり、仕事が捌き切れない状況に陥っている。
一方、仕事の期限について言っていないとすれば指示した側にも問題がある。「(君の作業だけで終わるわけがない、)そんなこと言わなくても分かるだろう」という暗黙の期待があるからだ。
端的にはコミュニケーションの欠落から生じているので、コミュニケーション当事者(つまり双方)が確認していないことが非難されることになる。両者の信頼関係は、この暗黙の時間感覚を相互共有できるかどうかにかかわってくる。
もともと、日本株式会社の強みは「相手の期待を読める」「お客様のご期待にお応えする」ところにあった。しかし、アングロサクソン型のマニュアル社会になってきて、義務と責任でものごとを捉えるような時代になると、何でも「形式知」にしなければならないという不便な世の中になってしまった。「期待を読め」と「期待」している上司と、「明確に指示しろ」と考える部下と、世代間の考え方の相違がでてきている。
「言わなければやらない」vs「指示が曖昧」の構造は大きな組織では残念なことに日常風景になっている。それだけ日本企業の文化レベルにおける強みが弱体化しているということなのか、違う方向に向かって強化されているのかは分からない。
冷静に考えれば、仕事の優先順位が状況変化などの事情で急激に入れ替わったりすることはよくあることで、それはどちらの責任でもないのであるから、最後は双方にとって共通のお客さんが誰であるかという観点で考え直せば、その解決は殊更難しい問題でもないはずなのだが・・・今日も、時間不足を品質劣化でカバー(?)する日が続いている。

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