2007年秋に出ていた、「炭山の王国―渡辺祐策とその時代」(堀雅昭)は、出版に気がついたのが遅く既に完売となっていた。
因みに本の内容は、宇部市で幕末に生まれた渡辺翁が、炭鉱業を興しその資金で教育や鉄道などのインフラを整備していきながら、いずれ炭鉱が衰退していくことを見越して、化学工業を興していくまでのストーリである。
この本は、もともと宇部日報という地方新聞に連載されていた宇部市の炭鉱の歴史を、渡辺祐策という人物を通じて丁寧に紐解いていったもので、宇部日報を購読しているときから出版されることを期待していたものだった。おそらく部数がまとまる事もないので重版などはされないだろう。つまり、古書店にでも出されない限りは二度と入手できない本となってしまった。
福岡にある弦書房という出版社が発刊してくれたものだが、地方・小出版流通センターという取次経由で出されている書籍である。残念なことに、これだけ流通が発達した日本で、地方出版社の書籍の流通は極めて悪く、東京の書店で入手したくとも、店においてもらえない。かつては神保町のすずらん通りに地方書を扱う店があったのだが、そこも数年前に閉店してしまった。
本日、池袋ジュンク堂書店で目的の本を見つけた。
早速、購入したので、夏休みに読もう。