（総理）
くそう、俺のことをおぼっちゃまだのKY（＝漢字が読めない）だの馬鹿にしやがって。「未曾有」を「みぞゆう」と読んで何が悪いんだ。「踏襲」だって「ふしゅう」って俺の田舎では読むんだよ。
（側近）
総理。やけくそになってほらを吹いては選挙区の方に迷惑ですよ。ただでさえ劣勢なんですから。
（総理）
前々任者だってボンボンだったし、今まで、じゅんぷんまんぽ（順風満帆）で来たのにケチつけるのか。
（側近）
しかし、総理。おかげで漢字の解説本が馬鹿売れのようで、今後も従前どおり「わざと」間違えていただければ、ますます本が売れていっそうの景気刺激策としてかなり有効と思われます。
しかも、某調査によると、取りたい資格のNo2に漢検があげられているようで、あの歴史を誇る日商簿記検定を抜いているらしいですよ。国民は金よりも日本の伝統文化である漢字を大切だと思っている証拠とじゃないですか（でも、トップはTOEICだから、あいかわらず欧米崇拝の傾向は変わっていないのかもしれませんけど。）。
（総理）
え、なんだ、そのカンケン資格って。そんなに官憲になりたいのか。権力志向・安定志向はよくないぞ。国会議員なんて選挙があるから、ちっとも安定していない。年金改革するんだから、社会保険労務士になったほうがいいぞ。
公務員改革には、ゆうむ（有無）を言わさないぞ。天下り、渡りは禁止だぁ。
（側近）
いえいえ、落ち着いてください総理。官憲じゃなく漢検ですよ。同音異義語っていうやつです。漢字検定協会というところが行っている漢字能力検定試験のことです。どうですか、総理も一回受験されてみては・・・・。
（総理）
君まで私のことをKYだと思っているのか。みんなが漢字読めなければ全部ひらかなで問題ないだろう。ハングルを見習え。こうなったのも、漢検協会なんてやつが国民に漢字に興味を持たせるようなことをするからいけないんだよな。
（側近）
でも協会には数十億円の余剰金があるようですよ。これをぱーっと使って景気回復といきましょうよ。
（総理）
・・・・・。君もなかなかいいことを言うなぁ。はじょう（破綻）の話ばかり最近多いからなぁ。
では早速、文科省に指示してくれたまえ。それから国会の答弁書には正しくルビを振るんだぞ。