ジャンクで入手したTV電話システム（Qcam E3500）を、父のPCに取付た。
高齢ながら（高齢が故に）病気等であまり外出できないため、インタネットで囲碁対局を日常生活に取り込んでいる父であるため、PCに向かわない日はない。PCは現役時代にワープロを使ったことがあるようだが、退職して後はワードで自分史を書いたり自分の健康指標（血圧など）をエクセルに入力してグラフを作って喜んでいる程度だ。
ドライバやソフトの設定はあらかじめ私が済ませていたので、IDの初期設定さえ終わってしまえば、そのIDをクリックすることで、こちらにTV電話の呼び出しが起こり、こちらが応答すれば通話が可能な仕組みである。
こちらから送った招待メールについているリンク先をクリックすれば、自動的にこちら側のIDがソフトに登録される。
聴くと他愛もないことだが、平素、囲碁対局しかしない老人にとっては相当厳しかったようで、実はたかがこれだけのことを説明して実行させるのに、小一時間を要してしまった。老人にとってPCの敷居が高いことと、セキュリティ対策などおぼつかないことを改めて認識した。そのストーリーは。。。

先ずは娘に電話をさせて、Qcam立ち上げの説明からだ。
いきなり、「囲碁ソフトが動かなくなったので、カメラをPCから引っこ抜いたから、使えないぞ」
どうやら、囲碁ソフトのカメラ設定の初期値がONになっているらしい。こちらにも同じソフトがインストールしてあり、時折、対局状況を見ながら「生存確認」をするのが目的だが、それを見ながらカメラの設定をオフにさせる。
ところが、いつも使っているソフトウェアなので、ボタンを押す流れを手が覚えており、こちらの指示通りに画面遷移をしている様子がない。あちらの画面が見えないので、ソフトを閉じたうえで、何度かやり直して漸くカメラ機能をオフにこぎつけた。
次に、Outlookを開いてこちらの招待メールをクリックしてもらう必要がある。
「アウトルック・・・・どこにあるかのぅ」
「スタートボタンをクリックして、一番上に表示されていたよ」
「スタートボタン？」
「画面の一番下の左側の丸いボタン」
「すべてのプログラムか」　（どうやら開いたらしい）「みつからんなぁ」（スクロールバーを動かして表示することがわかっていない）
あれこれやるうちに漸く見つけることができ、Outlookを開くことにこぎつけた。ところが、普段メールなど一回もやったことがないので、プロバイダなどからの連絡メールが山のように溜まっていたらしく、次々とサーバ側からメールが飛んできて私が送ったメールにたどり着かない。
検索させようとしたら、検索BOXがわからないといい、「表示」－「並べ替え」をさせようとしたら、メニュバーは表示されていないらしい。あれこれ言っているうちに、プロバイダから山のように届くメールが３００を超えてしまい、そちらの方が気になってきたらしく、
「どうやって消すかの」
何とか私のメールにたどり着いたが、今度はセキュリティ機能が画像のダウンロードを止めているので、画面がまともに表示されていないようだ。あれこれ試してみたが、結局要領を得ずに、メールからのID登録はあきらめざるを得なかった。
次に、難易度が高いと思われた方法で、直接IDを入力させる方法を試すことに。
「対局相手が・・・・」（どうやら、まだ囲碁ソフトを起動したままにしているらしい。すぐに閉じさせた。）
ソフトを立ち上げさせるのに、アイコンの下にあるソフト名を教えるよりもアイコンの絵を教える方が簡単なので、「空色のアイコンで、白い手を挙げている人が写っているもの」と言っても通じない。同類のアイコンはないのだが、それを視認できていないと、いくら言葉で言っても通じないのだ。
これも何とか立ち上げに成功し、IDの入力画面に（いろいろと経て）たどり着いたが、インタフェースが殺風景で文字だけなので、文字で説明するも、目がよく見えていないらしい。なかなかたどり着けず、あれこれと説明して漸くID入力に。私のメールアドレスを入力するので、半角と全角を間違えないか,「.com（どっとこむ）」を「dotcom」と打たないかと気にしていたら、
「＠（あっとまーく）はどこかの」
ときた。日本語鍵盤なのでPの右側だと教えたら、これは簡単に分かった。
あれこれとやっていくうちに１時間が経過。へとへとになりながら漸く通話に成功した。
しかし取り外されたカメラはUSBにはつながっていたが、設置位置が大きくずれており、部屋のカレンダーと白髪頭のてっぺんを写すのみだった。先方は娘の顔を見て喜んでいたようなので、まあ、この段階ではとりあえずよしとしよう。
後で、自分のメールを見ると、父からの空メールが届いていた。当人には送った自覚などないだろうが。