野口卓(著)春風亭清朝(監)日本実業出版社(2005年12月)
よく知られた落語の話をオチではなく一番聞き所になるセリフを中心に解説したもの。
落語の本はいろいろ読んだけれど、このアプローチは変わっている。3ページくらいに亘って話の流れが解説してあり、「聞き所」の位置づけを知るにはよい。こういう本を読むと、一番大事なところを見たり聞いたりするだけでは、ちっとも面白くないということもわかる。
実際、「ここがポイント」として解説はしてあるが、なぜかつまらない。やはり、マクラから始まって最後に落ちるまで、一連の流れの中で話を聞くべきであるということを諭しているのか。それとも、落語の話ははじめからわかっているので、それをどうやって「演ずるか」を愉しむのが落語なのだと教えようとしているのか。
情報化社会になって、「あらすじで分かる・・・」「三日で理解する・・・」といった、何でも「要約」されたものが入手できるようになってきているが、物事の因果を含めて理解するには、自分で要約することが大切なんで、「そういうものだ」と理解するまでがもっとも面白いんじゃないか。
やはり落語は寄席で聞くもんだと思う。しばらく行ってないなぁ・・・