半藤一利(解説)文藝春秋2007年4月号
ノモンハン(昭和14年)から終戦(昭和20年8月15日)までの昭和天皇侍従の日記である。
解説を待つまでもなく、最も傍で仕えた侍従が残したものであり、戦時中の宮中での出来事(内奏などの訪問者、祭礼など)
における昭和天皇のご発言が淡々と記録されている。
人間としては立憲君主を目指し、法的には絶対王権を持つ立場として位置づけられた昭和天皇が、
大東亜戦争において両者の狭間で悩む姿が見えてくる。
もっとも哀しいのが、ミッドウェイ会戦以降、米軍が反撃に出てきていることを昭和天皇自らが悟りながら、
周囲の情報の壁に阻まれて日本軍大進撃を信じ込まされていく過程。結局、軍部は大元帥をも欺き戦争を継続して行った訳だが、その意図や如何。