日本史の誕生

岡田英弘(著)ちくま文庫(2008年)
大陸、半島、日本という地理的関係を踏まえて、日本という国のおこりを、日本書紀の編纂に求めている。歴史を作ることで国家が国家としての独自性を持っていくという考え方で、日本書紀以前には大陸の記録からみた東の小国であった日本が、唐による支配(大陸の脅威)から独立して自国を護持するために、日本書紀を編纂し独自の歴史を持つ国であることを確認しようというところから日本が始まったとする。
邪馬台国は瀬戸内海のどこかにあったとか、推古天皇は女帝であったとするのは中国の史書からは男性としか読み取れないとか、挑戦的な記述が多いだけに、どこまでが学術的研究でどこまでが意見なのかははっきりとはしないが、少なくとも魏志倭人伝から邪馬台国を推定するというつまらない作業よりは、自由な立場での想像を広げて日本史を捉えるには、面白い内容であった。

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