忘れられた黒船 アメリカ北太平洋戦略と日本開国

2018年3月30日読了
幕末1853年にペリーが浦賀沖に来航し開国を迫り、翌年1854年に再来して日米和親条約が締結され鎖国が解かれ、1856年にハリスが来日して総領事となる。当初の(米国にとっての日本の)開国の目的は、米の捕鯨船に薪炭を補給することや被災した漂流民の保護などであり、その後の修好通商条約締結につながるという幕末の歴史を紐解くと必ず出てくる開国への道筋ではあるが、その間に、二度に渡って海軍大尉ジョージ・ロジャースが来日していることは知られていない。

本書は当時のアメリカの北太平洋への航路開拓(主として中国やアジアとの交易)という大戦略の中に一連の史実を位置づけ、その航路の測量が重要な意味を持っていたことに着眼し、日米和親条約後に来日したロジャースが、日本に開国する意思がないことを悟り、その後のアメリカの態度に大きな影響を与え、本来の開国である通商条約の締結に至るという説を提供している。

アメリカも1861年の南北戦争前夜であり外交が重要な意味を持っていたという背景などを考えながら幕末史を学ぶと、また違ったものが見えてくる。

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