まさか自分が小説を読むなど考えもしなかった。
日経新聞で週末に「リーダーズリーダー」というコーナーが有り、日立の川村会長が紹介されていた本の一つにあったもので、仕事で疲れて気が萎えている時に読むと、もう少しやってみるかという気持ちになる云々とのことだった。
三屋清左衛門という藩のそれなりの立場にあった武士が家督を息子に譲り隠居生活に入ったものの、それまでの色々な関わりの中で隠居という立場を頼って現職の藩の人々が相談に来て問題を解決していくという話。
藩の要職であったものの藩政から離れていることから、少し距離をおいて物事を考えることや、自分の衰えを感じつつもそれを素直に受け入れて、隠居後もなお活躍する姿は、定年退職した会社員にとっては励みになるような話だろう。
藤沢周平は初めて読んだが、風景描写と人物描写のバランスが実によく、またさらには格調はあるも堅苦しくない文体がなかなか気に入ってしまった。今後も時と見て読むことになろう。