本当に悪いのは・・・

またもや、「Winnyによる情報漏洩」が問題になっている・・・が、この言い方は正直気に入らない。
一時期、「ナイフ少年傷害事件」など問題になったが、両方に共通する思考様式として、問題の帰責を、道具を使う人間ではなく道具そのものに求めているところである。
WinnyはもともとPtoPでファイル交換を目的とした性善説に立つソフトであり、しかもフリーウェアであったはずだ。
つまり使用者が自己のリスク判断に基づいて使用することが前提であり、そこには情報漏洩のリスクも当然に含まれる。ファイル交換によってディスク内のファイルが意図しない転送によって情報が漏れるリスクや、ウィルスに感染してWinnyのセキュリティホールが悪用され、機密にしたい情報が漏洩するといった副次的リスクも当然に想定される。
今回問題になっているのは、(1)個人のPCないしは、(1)’職場のPCに、(2)Winnyを使用者がインストールし、(3)ウィルスに感染したWinnyが、(4)PC上のファイルを外部に転送した結果、(5)情報が漏洩してしまった。
という5つの点を考察する必要がある。
(1)は個人のPCに関することなので、どうこういう問題ではないが、事件になっているのは、職場のデータを個人のPCで処理していたことが問題視される。
(1)’はそもそも職場のPCになぜWinnyがインストールされるのか、できるのか、放置されていたのか・・・というあたりが検討されるべきだ。
(2)では使用者はどの程度リスクを認識していたか、あるいは対策を講じていたかが問われなければならない。(3)はウィルス対策は当然に講じていなければならないが、それは行なわれていなかったのか、
(4)ファイヤウォールを設けていなかったのか、
(5)漏洩した情報の内容はその人が扱うべきものだったのか・・・・などが議論されているのかどうか知らないが、「またしてもWinny・・・」という論調である。
業務上のデータがなぜ個人PCで処理されなければならないのか、そこには貧弱なOA環境が真っ先に想像されるが、自宅で仕事をせざるを得ない労働条件(お持ち帰り)や、職場PC以外にデータが持ち出せるといった環境不備が真っ先に非難されるべきである。次には無償でさえ入手できるウィルス対策すらしていない使用者、管理者の無知などがある。
いまは差別用語として使われていないが「きちがいに刃物」という言葉が昔はあった。
刃物は勝手に悪いことはしない。Winnyだってインストールしなければ暴走することはないし、Winnyを使わなくても情報漏洩リスクはある。
車の運転は、アクセルとブレーキとハンドルの使い方がわかれば子供でもできる。しかしそれは閉じられた場所(人のいない河川敷や教習所)での話であり、公道であれば交通ルールがあるし、予期せぬ通行人の存在や周辺車両の動きなども想定に入れなければ、車を運転できるとはいえない。またひとたび事故が起こった際の対象方法も知っておかねばならない。
昔から「人の口に戸板は立てられぬ」という。口コミはPtoPであり、Web2.0を待たずともPtoPはインターネットが向かっている究極の姿への過程である。ナイフも車も上手に使えば便利な道具であるが、そこには一定のマナー(使用方法論)とルールとリスク管理とが求められる。あたかもWinnyが問題の全てであるように騒ぎ立てる論調の底辺にある、「責任転嫁」という発想が気に入らないのである。本当にWinnyが問題と考えるなら、今後PtoPソフトの一切を使うべきではない。
そして、インタネット接続をやめスタンドアロンでPCを使えば情報漏洩の心配はない。

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