中年クライシス

中年クライシス (朝日文芸文庫)
河合 隼雄
朝日新聞社


意味深なタイトルだ。中年という言い方は最近は熟年という言い方に置き換わっている。こういうタイトルに惹かれてしまう自分が早その年代に達してしまったのかと思わざるを得ない。
著者は臨床心理学者だが、本書は著名な小説を題材にとって、40代から60くらいまでの年代の登場人物に焦点を当て、揺れ動く中年の心理描写を解説するという、些か変わった趣の内容だ。
とはいえ、子供を育て終わる、仕事は一山超える、新世代の新しい価値観にぶつかる、仕事の責任が重くなる、夫婦関係が変化する、などなどいろいろな題材を拾ってあるので、身につまされる思いがするのは私だけではないはずだ。
中年をどう捉えるか。著者は、中年に至るまでには人間はどう生きたらよいかということを考えながら日々を過ごすが、中年以降はどういう死に方をするかということを考えるという。
冬の後には春が来ると考えるのは中年より前で、春が来てもまたいずれ冬が来ると考えるのが中年以降らしい。
そういえば、3年前に春の桜を観たときに、「あと何回見られるのかなぁ」とふと考えた自分を思い出す。

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