ロナルド・ドーア(著)岩波新書(2006年第一刷)
会社は株主のものという考え方と、従業員やステークホルダを含む社会的存在とする考え方を対立項として議論している。
タイトルから期待させる内容は、経営者がバランスよくステークホルダの利害を調整する場が会社なのだという「回答」を考えてしまう。
よく言えば当たり前のことを淡々と書いているということであり、悪く言えば「株主」説というもともと無理のある極論を批判の対象としているわけである。
そもそも実際の世の中は「株主」説で動いているわけではない。株主オンリーであってはならないことは誰もがわかっているし、株主を軽視してもならないこともそうである。経営者が「株主重視」をうたって経営した結果として会社が傾いたときに、本当にその「株主重視」が会社が傾いた原因なのかどうかの検証は必要なのだが、そういうところに踏み込んだものではない。
「株主」説とはそもそも、ひとつの「ラベリング」であって、たぶんその意味するところはそれぞれに異なっていると思う。そういう実態がハッキリしないところを議論の対象にするということは難しいのである。
内容は否定されるものではなかったが、タイトルから期待するものが大きかっただけに、株主所有体説に対する有力な反論というか説得力のある論旨展開が欲しかった。なんとなく議論の持っていきかたが雑であり、深みが足りないような気がするのだが・・・。