外山 滋比古(著)ちくま文庫(2007年)
もともとは、1982年に出版されたものがちくまから文庫として再販されたようだ。
著者の文章は中学高校の国語の教科書には必ず出てくるが、英文学者だけあって、非常に分かりやすい説明であるが、学校にいるころは国語など大嫌いだった私である。
読みやすい本と読みにくい本とがあるのはなぜかという問題から解きほぐし、知っていることや印象・感覚で分かる内容は読みやすい本でこういった読み方を「アルファ読み」、哲学や論文のように何度も読み直さねば理解できないような本の読み方を「ベータ読み」と分類するところから始まる。
アルファ読みばかりしていると、本当に考える喜びが得られない、そもそも考えるということをしなくなるという危惧から、ベータ読みができるようになるためには、まずは素読から入って後から意味が分かるような読み方をしていくことを推奨している。そういった意味で、漢文の素読や、平家物語の丸暗記などは、詰め込み教育との批判を他所に、思考を鍛えるという意味においては、有効な方法らしい。
最近、哲学書などを読むようになってわかるようになってきたが、やはりさらっと読める本は結局あまり印象に残らないのだ。むしろ一冊を苦労して読みながら、珠玉の言霊に触れることができれば、それこそ読書の喜びなのであろう。