ITのパラドックスとしてよく言われるのが、「業務をコンピュータで処理すれば、紙の消費量が減少する」という話。
これがまったくの逆であることは、普段オフィスで仕事をしている人なら誰でも分かる。
何でも簡単にプリンタに印刷できることや、ちょっとした修正であれば、昔なら白ペンキを塗って適当にごまかしていたものが、わざわざ一字の修正で一ページを印刷するという結果となっている。これに拍車をかけているのがネットワークによるプリンタの共有である。
(ちなみに紙の消費量を激減させる最高のソリューションは、会社からプリンタとコピー機を無くすことである。)
もう一つのパラドックスが、「IT化が進めば情報の共有が進む」という話である。
本来の情報共有とは、「共通理解が進む」ところに意義がある。ところが、メールで気軽にファイルが送付できるようになったことから、電子メールの世界はCC(Carbon Copy)の嵐となっており、なるほど読みもしない人々まで含めて皆が情報をメールフォルダないしはアーカイブに「共有」している。
一旦送ったファイルが部分修正されたりした日には大変なことである。どれが新しい版で、だれがどこを直したのかなどが分からなくなり、情報が錯綜することになる。
サーバーに置けばよいという意見もあるが、常にアクセス環境に恵まれた人ばかりでもないし、そもそも目的のファイルを探し出すのが大変だ。
結局、必要な情報を事後的にきちんと整理して保存するという手続は怠ってはならないということに気が付く。
さらには、情報が必要かどうかはある程度時間が経過しないと判断がつかないため、日常社会では「ゴミ情報」が飛び交うのはもともと仕方がない部分がある。
つまりITによる業務効率化は、洗練されないゴミ情報が気楽にやり取りできるようになったため、情報の扱いが楽になった反面で、ゴミの分別(ゴミ処理や資源の回収)が極めて大変になっている。
利便性の裏にあるのは、ここでもやはりゴミ問題だったとは・・・。