西研(著) ちくま学芸文庫 (1995年)
難解な(といっても哲学はみなそうだが)ニーチェ、ハイデガーを扱った哲学書にしては分かりやすい言葉で書かれており、読みやすかった。
確かに哲学とは原書を読んで自分で考えろという向きからすれば、こういう説明をすることは批判もあるのだろうけれど、
自分のような哲学素人にはこういう本はありがたい。
著者の主張を要約すると・・・
人間は喜びを味わうことを求めている。だから、世の中が旨くいかないとか、
他人が悪いといった外部に自分の不満の原因を求めるのではなく、まずは、自分がなぜそう感じているか(裏返すと、何を求めているのか)
という自分自身と対峙してみよう。
これは「自己了解」という言葉で説明される。つまり自分の欲望を改めて了解する行為であり、これを通じて自分の新たな存在意義
(つまり実存)について考えることができる。
自己了解の方法には、以下を提唱。
- 自己決定(自分が思い悩んでいることを認める)
- 感動、欲望への気付き(悩みの裏にある自分の心に気付く)
- 感受性の洗練
- 批判
- 相互了解の媒介として「問題」を立てる
- 時代や社会の問題として自己了解する
哲学は難解で暗く最後は考え込んで自殺というパターンがイメージとしてあるが、現象学は物体、人を問わず、
関係性を起点として自分がそれをどう捉えているか、さらに本当はどう捉えたいのかまで問いかけていく。
一つの考え方に集約帰結させようというものと異なり、自らのこころの自由さを尊重しているという点で開放感があり明るい。