現象学とは何か-フッサールの後期思想を中心として

新田義弘(著)講談社学術文庫(1992)
現象学とは何か―フッサールの後期思想を中心として (講談社学術文庫)


つべこべ書かず、著者がむすびに記載しているところから引用する(pp.234-235)。
・・・・フッサールの現象学がわれわれにとくに教えるのは、われわれが学問や文化を理解するとき、すでに解釈された世界像や出来上がった思想体系が問題なのではなく、それらがいかなる経験からどのようにして発生してきたかということを十分見定めていくことがいかに大切であるかということである。・・・・日常それが生であり、ありのままの現実であると想い込んでいるものは、すでにさまざまの先入見や伝統的知見のためいわば手垢にまみれてしまった既成物であることが多い。・・・・要は、われわれがそれを生きている経験そのものを純化していくことなしに生の秘密は解き明かされないのである。理論的知識を含めた一切の知の発生をその根源へと問い、経験そのものの構造と意義をその根底から見極めていく以外に人間の生の隠れた意味がどうして発見されるであろうか。

2 thoughts on “現象学とは何か-フッサールの後期思想を中心として


  1. ゴンチャロフさん、こんにちは。
    そうですね。冒頭には昭和40年頃紀伊国屋書店から発売された云々との記載がありました。
    時代を経ても内容にはまったく古さを感じません。


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