温水洗浄便座の取り換え

自宅のシャワートイレが水漏れするようになった。温水タンクの排水バルブのところからポタポタと漏れている。被害は特にないが放っておくといずれ水が吹き出すかもしれないし、ケーブルを伝ってコンセントプラグに水が入らないとも限らない。20年も私のお尻を支えてくれ、今や我が家では私の唯一の安心できる居場所で愛着あるものだが、永年のサポートに感謝しつつリタイヤしてもらうことにした。

まずはDIYのサイトで値段やまた型式に依って合わないものがあるかもしれないので事前勉強。工事方法などをみると意外と簡単そうであるので、日曜大工でいくことにして、近所のコジマに行った。

なんと種類が多い!
フィットする便器のサイズは通常版と大型版があり、比較的大型版が普及しているようだ。しかし、両方に使えるというものがほとんどだった。結局、便座を2本のボルトで止めるので、そのボルトの間隔があっていることと、Oの縦の長さがポイントのようだ。
温水はタンク式と直結式とある。タンク式は温めて貯めるのでエネルギーを食うが機構が簡単。直結式は噴射する直前に温めるのだが、適温にしなければならずそれなりにハイテクなようで値段も五千円くらい高い。確かに壊れて熱湯が来たら飛び上がりそうだ。
ノズルは取替え式のものがある。
スイッチは昔ながらの横についているのと、最近良く見るようになったリモコン式のものがある。給水タンクを制御するのでなければ、リモコン式はあまりメリットがない(リモコンがあると赤外線でいたずらできるかもとくだらないことを考えた)。

結局、もとがINAXだったので同じメーカーでもっとも普及品と思われるものを購入し自宅まで歩いて持ち帰った。本題とは外れるが、電化製品はなるべく機能がないものを買う。マニュアルを見なければ使えないような機能はまず使わないし、使わない機能部分が壊れて全部取替えなどアホくさい。尻を洗うのにさほど高度な機能は必要なかろうということだが、脱臭機能はつけた。

工事のポイントは、水部分のパイプ。壁から出ている給水口に取り付けてあるバルブを残してパイプ類はすべて取り替える。
旧品は分岐部分にもバルブがついていたので、タンクは給水したまま便座の水止ができるようになっていたが、新しいものは分岐部分にはバルブがないのが違い。考えてみるとこのバルブは必要ない。その他必要な部品は全部入っていた。スパナとプライヤは前回の水道工事の際にもばっちり使えたので、今回はそのまま流用。

本体を陶器から取り外す。ここが最も難しかった。便座の裏にあるボルトを外す作業。見えないのでうまいことスパナがはまらず手で外すことに。意外に緩かったのでよかったが、それでも力が必要だったため、便座の蓋に顔を乗せることに。そこだけ風景を切り取って見れば、この人は便座に恋をしているのではないかと思われる光景。二日酔いのときを彷彿させる。

これは知識があれば違う手順をとったかもしれない。
後からわかったことだが、ボルトで本体を固定しているのではなく、アダプタを固定してそれに本体を差し込んでいるだけだった。つまり、便座を手前に引っ張れば外れるようになっているのだ。

外してみたら、黒カビがこびりついていたので、その掃除にけっこう時間がかかった。

一通り不要なものはすべて外したので、次は新しい方の設置。

タンクと分岐とをつなぐフレキパイプはジャバラ式になっているが極めて固いものだと知った。一旦曲げると逆に伸ばすことで金属部に亀裂が入る可能性があるので、慎重に曲げながらフィットさせていくと最終はクエスチョンマークの形になった。便座に座ってじっと哲学するロダンなのかもしれないが、座ると背中側なので見えない。この部品はスパナでしっかり締めるようになっている。

その他、分岐から便座に取り込む部分はスパナすら不要なクラッチで止めるタイプ。最近は本当に職人の手をかけないようにいろいろな工夫がされている。これだけなら取替え工事は簡単に終わる。

水道の次は、本体を固定するアダプタを陶器に固定する。微妙な位置関係があるようなので、本体を仮置ききして位置決めをした。便座手前が多少はみ出る程度で、下の陶器の端が内側でちょうど見えなくなる程度がよろしいようで。

本体に給水パイプをつなぐ。ここもクラッチで止めるようになっていて、しかもノズルが可動式になっているので簡単。

最後にアースをつなぐ。じつはこれが大変だった。コンセントはケーブルが邪魔にならないよう便器の奥の左の壁にあるのだが、アーズ線はネジで止める仕様だから、片手でケーブルを持ち反対の手でドライバを持たねばならない。先程のように便座に顔を乗せてもそういう体勢はとれない。いろいろ試して最後の方法はアース端子の隙間に力を入れてケーブルをはめ込んで手を外しても落ちない状態にして、ドライバで締め付けるという方法を取った。結局は腕の筋がつった。

水パイプを本じめしてバルブを緩め漏れがないことを確認。

コンセントを差し込んで通電を確認。

シャワーが出るかどうかをスイッチを押して確認。あれ、出ない。マニュアルを見ると便座に体重をかけたらスイッチが入るようになっているらしい。腕を乗せたらノズルが出てきたが、このまま水が吹き出ると顔に浴びてしまうので慌てて手で防御。お尻用と女性用と両方の水が出ることを確かめて工事は終わり。

外した部品は金属とプラスティックを分けて、製品が梱包してあったビニルでくるんで市の有料回収へ。

反省
1.工事は朝からやるべき。想定以上に時間がかかると暗くなる。腹が減る。
2.工事時間を想定して用は済ませておく。小なら男は困らないが女は座る場所がない。かといって山の神外出時に一人でやると掃除などの分業ができない。
3.作業領域を確保すべし。意外にも場所を取るので、取り外した方の置き場所も(汚いことを前提に)想定しておく。
4.便座は簡単に取り外せることをはじめて知った。カビなどの汚れ対策には取り外した掃除も必要。
5.便座のタンクの水は抜いてから外さなければ、移動時に中の水が溢れる。
6.雑巾や小さいバケツを用意しておくと、漏水に対応できる(これはマニュアルにも書いてあったので事前に準備した)

疑問
コンセントプラグは2つあったが、便座以外にもう一つは何に使うことを想定しているのだろうか。あのような不便な場所に掃除機を接続することはありえないし、スマホの充電器とケーブルをつけておくくらいしか思い浮かばないが、マンションの建設当時なら携帯電話用か。