党首討論における財源問題

党首討論でどちらが勝ったか負けたかを議論するよりも、その中身についての議論が必要である。。
自民党は従前より消費税率のアップを政策に掲げており最早その時期がいつになるかということだけ。おそらく次の選挙に「万一」勝てば、消費税率は上がるだろう。
社会福祉の財源問題に触れずに政策を云々するのは無責任であるとの麻生発言に、鳩山党首は、人の命よりも財源が大事なのかと、はぐらかした。そして、さらにこう言ってのけたのである。
「少なくとも、民主党は政権をとっている4年間は消費税率は上げないことを確約できる。」
この発言、民主党が次期政権は獲るがその後は自民党に戻すからよろしくと言っているのか、4年後の消費税率上げを目指したものなのか、きちんと議論して欲しかった。
高福祉国家を目指すのであれば、財源の安定化と直間比率変更は避けては通れない議論である。
いずれにしても、一国の与党野党の各党首の討論がこういったレベルでは、先が思いやられる。結局、政治が愚かになればなるほど官僚はやりやすくなり、行政効率がますます悪くなることが目に見えてきて非常に不愉快である。


赤福もか・・・

伊勢の赤福が製造年月日を偽装していたとして出荷停止になった。

製造日(厳密な定義は分からないが、報道を読む限りは箱詰めした日)
に出荷されなかったものは冷凍保存して解凍して出荷した日を製造日としていたことが問題視されているらしい。それ自体は、
決められたことを守っていないという意味では問題行為である。

では、あんこや餅を「製造」して冷凍保存し、解凍してから箱に詰めた場合には製造日はどうなるのだろうか。もっと言えば、
冷凍あんこを仕入れて加工販売したらどうなるのか。

以前も同じネタで書いたが、守れない法律は作ってはならないし、現実にそぐわない法律は守らせるのではなく変えなければならないのだ。
そもそも食べるものに毒が入っていなければ、古いか新しいかの違いで風味や歯ごたえ程度の違いしかないものに、
ある日突然品質が悪化するかのように消費期限や賞味期限をつけるのは、どういうことなのか。あんこにしても餅にしても、
保存食だから直ぐに腐るものでもないし、まして冷凍保存して解凍したものだって同じくらい持つと思うが、消費期限は夏場が製造日を含め2日、
冬場が3日らしい。

関西に出張に行くと必ずお土産に買っているが、直ぐに全部食べきれないのでいつも1週間くらいは残っているが、何の問題もない
(餅が固くなって却って剥がしやすいというメリットもある)。美味しく食べられる期限はメーカの差別化要因であり、
腐ったり痛んだりする期限は健康に関する問題であるが、消費者保護の下に両者が混同されている。牛乳のような生ものと保存食のような赤福を、
同じ法律で規制できるのか。

もっとも腹立たしいのが、回収した商品は廃棄処分するということである。せっかくの食べ物を・・・。神宮のお土産だけに、
それこそ罰当たりな行為だと思うが。廃棄にご協力くださいといって駅でタダで配れば、直ぐになくなる・・・・とすればやはり法律が変なのだ。


殺虫剤回収

ゴキブリなどに噴射して凍結死させる殺虫剤はなかなかのアイデア商品だと思うが、可燃性ガスが引火して火事になるということで、
回収の憂き目に遭っている。商品には可燃性ガスを使っているので火気厳禁の注意書きもしてあるそうだ。

殺虫剤に限らず、スプレー製品に可燃性ガスを使っているものは他にも多くあり、
ガスを使わなくてもアルコール分があればそれ自体が可燃性を持つので、引火のリスクや吸引して中毒を起こすリスクは常にある。
そういうことは現代社会における常識として身に着けているはずだが、メーカはそこまで「配慮」しなければならないのだろうか。

人にぶつかる可能性があるのでクルマは回収します、溺れるかもしれないので日本沿岸での遊泳は禁止します、
感電するおそれがあるので電気は止めます、漏れて中毒を起こす可能性があるのでガスは供給しません・・・。

20年近い昔、外付けハードディスクが埃でショート(?)して発煙・漏電した経験があるが、
吸引口に埃が溜まると当然こういう事故になるなと「反省」したのですが、いまだったら大騒ぎ?


相撲とスポーツ

朝青龍がモンゴルに帰郷し「つるつるの泥温泉」で療養するという。
高砂親方は全責任は私にあるといいながら35時間でトンボ帰りしつつも、
とりあえず自分のカードからジョーカーが他に渡ったことでほっとしたような表情であった。

相撲は柔道や剣道と並んで日本古来の国技として世界的に知られているが、柔道・剣道がスポーツとして国際試合もあり、
海外にも猛者が多くいることに対して、相撲は海外巡業はあっても公式な相撲試合が海外で行なわれているという話は聞かない。
この理由を考えるに、今回の「事件」がその回答を与えてくれた。

相撲はスポーツではなく、日本相撲協会という組織によって維持・運用される、年寄株制度、徒弟制度、タニマチ制度、興行権、
TV放映権などの既得権の運用によって成立している利権構造なのだ。
横綱というタイトルはそういった構造の一部を担う役割を果たすことが期待されている「制度」であるため、
怪我を理由に巡業を休み故郷でサッカーに興じている横綱は制度趣旨に反する行為として非難される。

これが柔道選手の場合であれば、公式試合に出ないでサッカーをしても、非難は浴びるにせよ、
結局のところ試合に出なければ金メダルも取れないし柔道界から名前が消えていくだけの話なのだ。一方、実力さえあれば再復帰も可能である。
しかし横綱はチャンピオンフラッグではなく、優勝できなくても横綱である。その代わりに引退は自分で決めなくてはならない。

朝青龍は病気ということで、除名処分等の措置は事実上先延ばしになっているが、処分をするのかしないのか、相撲界の「利権構造」
を維持できるかできないかが関わってくることにもなる。さらには相撲界という興行体制を守るのか、
それともスポーツとして割り切るのかの選択を図ることに繋がっていくかもしれない。相撲協会としては慎重にならざるを得ないのは、
利権を維持するためには除名処分は止む無しだが、一方で横綱という役者がいなくなれば一時的には興行成績が落ちることになるので、
どちらがオトクかと考えているかもしれない。

最後の審判はどういうものであれ、必ず「国民の声(期待)を踏まえて・・・」という言葉で飾られるだろうが、国民の期待は、
利権を維持することでもなければ、個人としての横綱を見守ることでもない。誰であれ「さすが」といわせる相撲をとれる者が横綱になり、
相撲を愉しませることである。興行界をスポーツ界に変えろというつもりはないが、観客が愉しむという意義を失えば、どんな伝統も制度も、
それ自体が維持できなくなるいうのが冷徹な運命だろう。


年金問題の裏にあるもの

払っているのに記録が消えた、年金番号が二つある、などなど世間を騒がせている年金問題。
社会保険庁というか厚生労働省は他の事件ともあわせて最近は肩身が狭い。

十年位前だったか、国民総背番号制が議論されたときはプライバシーがどうしたこうしたで、いろいろと反対意見があったようで、
立ち消えになった「一人一番号」という考え方。今回はいくらか分があるとは思うが、
さりとて杉並区のように住民基本台帳のネットワーク化にすら反対している自治会がある以上、まだ道半ばという気もする。

 

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