プロ棋士の思考術

依田 紀基(著)PHP新書(2008年)
囲碁棋士による口述筆記だろう。
子供時代の勉強が出来ないコンプレックスを囲碁によって克服していった人物の話である。
実際はもっと深いものがあるのだろうが、期待したほどの中身がなかった。
筆者のたどり着いた心境は、「虚仮の一念」ということだが、プロが碁は論理ではなく感覚で打っていることはよく知られているし、手を読むのではなく膨大な棋譜の記憶からイメージを描くことも当たり前の話であって、囲碁が強くなるための参考にはならない(ただ努力が必要なだけという意味では、当たり前のことを確認させられるのだが。)。
しかし、人間がどのようにハメをはずして行っても必ず傍で見ている人が居て救いの手を差し伸べてくれるというのは、それに気がついた筆者にとっては幸せである。いい師匠に恵まれていることは、やはり弟子としてもそれなりのものがあるからこそ言える事である。
それにしても、賭け事で数百万円を稼いだりすったりする話は、武勇伝としては面白いが、「プロ棋士の思考術」とはあまり関係ない。所詮、賭け事は時の運でしかないからだ。

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