人口減が地方を強くする

2017年3月27日読了

人口動態にはそれなりの必然性があり、補助金によって意図的に人を地方に動かすよりも、各地域において若い人が稼げる仕事を創っていき、人が自然と集まるように仕向けるべきで、地域に定住する人こそ変わるべき。

地方都市における人口減少は、「限界集落」「まちが消滅する」などセンセーショナルな言葉と組み合わせて説明され、その対策として「移住」という施策が採られているというのが、およその見え方だろう。

しかし著者は、データを使って「必ずしもそうではない」ことを示し、独自の論旨を展開していき、最終的には補助金等を使って人の自然な動きを無理やり「逆方向」に持っていくのは正しいやり方ではなく、むしろできるだけ民力を使って人が自然に寄ってくるような「流れ」を作ることを主張している。この意味から、公共投資を増やすことによる一時凌ぎの方策や、企業誘致という大会社に的を絞った一攫千金的手法を取ることには賛同していない。

一部を抜粋しておこう。
・人口移動にはそれをもたらす必然性があり、その原因を変えなければ、無理やりの人の移動は「奪い合い」を生むだけ
・東京一極集中というが、東京に人口が集まっているのは事実であっても、実は地方においては地方の大都市に周辺から人が集まる現象がある
・無理やり人を移住させても、そこに定住して稼げるだけの仕事がなければ、いずれ離れていく
・消滅すると言われている村落で実際に消滅しているのは少なく、実は近郊に新しい住宅地が開発されているケースが多い
・コンパクトシティは何もかも集約してしまうのではなく、社会インフラとしての機能を集約しつつ、周辺に分散して人が住めるようにするほうがよい
・技術革新を利用した生活スタイルの変化を活用する
・若い人が「地元で付加価値の高い仕事で稼げる」環境にすることがコアとして必要
・消滅するのは「自治体」であって住民ではない
・地方創生は補助金で若者を呼び込むことではなく、住んでいる人が自ら変わること

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