マッカーサー フィリピン統治から日本占領へ

増田 弘 (著)中公新書(2009年)


マッカーサーと言えば日本人には最も知られおそらく尊敬もされているアメリカ人だろう。
日本の歴史に明確に記録されているのは、1945年8月連合国最高司令官として日本統治のために厚木飛行場に降り立ったときの姿は、印象的である。著者はこの姿はマッカーサーの自己顕示欲が現れており、おそらく自分が歴史においてその瞬間にどのように記録されるかを意識していただろうと記している。
本書は、そういった日本人が抱くマッカーサーのイメージではなく、どちらかというと日本に来るまでの過程を描いている点で異色である。特に、日本がフィリピンを占領するにあたって米国と対戦した際にマッカーサーがフィリピンを統治していたことや、バターン半島からオーストラリアに奇跡の脱出をしたあたりの記述が豊富にある。
親子で軍人でありウェストポイントではエリートであり自尊心の強い将軍が、日本との関係や日本人に対するどういったイメージを持っていたかは記されていない。しかし、その人物の歴史を見ると、マッカーサーと日本との関わりが、また違った視点から見えてくるので、大東亜戦争史に興味ある人にはお勧めの一冊である。

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