沈まぬ太陽

山崎豊子原作の同名小説の映画化。
映画を観たのは何年振りだろうか。
日航ジャンボ機123便の御巣鷹山墜落事故を題材にしたフィクションだが、おりしも日本航空の経営再建が議論されているタイミングでの上映なので、原作も読まずに観に行った。日航にとっては痛烈な批判となってはいるが、やはり会社ってああいうものなのかなと思う。出世競争、足の引っ張り合い、世間より組織、組織より自分、金で動く人間、政治的圧力と無責任、不本意な転勤・左遷、家族への波及・・・・。
腐った組織が潰れない構造にこそ問題があるわけで、その構造を支えているものは、目に見えない「空気」であるとは、山本七平の「空気の研究」だが、会社組織に携わる身としては何か考えさせられる映画だった。
会社の不正の題材に使っている、買収金額の詐称と、為替予約については、殆どの観客には理解できないと思う。もっと分かりやすくしたほうがいい。またその不正の手口が会社の体質を露呈するような展開にしたほうが面白いだろう。
平日に休暇をとって観に行ったので、劇場内はガラガラだった。
既に封切から3週間が経っているとはいえ、建物の外にポスターが貼ってあるわけでもなく館内に案内があるわけでもなく、映画館自体がお客さんを入れようという配慮がなされていないのは、他の映画に客を向けたいからだろうか。新しい映画や売れる映画をどんどん入れて客を寄せるシネコンの欠点か。途中10分の休憩があるものの、映画全体は3.5時間もある大作。映画館としては客の回転が悪く不採算なのかもしれない。

4 thoughts on “沈まぬ太陽

  1. 私もまた見に行きますね。
    本作品に対してはJALが様々な圧力をかけており、これまでもネットで話題になっていましたが、AERA最新号でも特集になっています。


  2. あくまでもフィクションですがどうしても時事問題とオーバラップしてしまうのは仕方ないでしょう。
    でも、上映はそろそろ終わるので、お早めにどうぞ。


  3.  私は8年前になりますか、原作を読みました。山崎豊子の本は、読み出したら止まらないですね。一気読みでした。なかなか読みごたえがありましたよ。
     映画も見に行きたいのですが、なかなか時間が取れなくて。3.5時間もあるのですか?
     しかし、JALの企業年金減額反対は、われわれの視点からはとても納得のいく話ではありませんね。会社つぶれたら、企業年金も何もないんでしょう?


  4. 年金は会社とは別勘定なので残ります。しかし継続的に会社が補てんすることが前提になっているので、会社がつぶれるとなれば条件の変更は当然あり得ますね。特に日本の会社の年金制度は会社が継続的に成長していくことが暗黙の前提になっているようなところがありますから。
    映画はあくまでフィクションですから、一つの話としてみなければなりませんが、少し作りが雑な部分がありますけど、とにかく長い映画でした。


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