日本史の謎は「地形」で解ける【文明・文化篇】

北京出張の際に退屈しのぎに買った本。
人々の生活行動は生活環境の影響を必然的に受けるが、特にこの著者は土木建設の専門家であることから、地形に着目してそれを論じている。

日本が欧米列強の植民地にならなかったのは、長州戦争、薩英戦争をとっても、田畑と山林の地形では結局は陸上に上がっての戦闘には耐えられなかったからだと言う。そもそも日本には資源がなくまた生糸程度のものしか植民地化して利益が得られるものがなかったというのもあるだろう。

北海道の河川に三日月湖が多いのは、洪水による河川の直線化によるものと思い込んでいたが、全く逆で、人工的に直線化することによって流水速度を速め川底を深くすることが目的であった。そうすることで泥炭層に含まれる水位が低くなり開拓が出水によって邪魔されないという。

日本人が勿体ないとかんがえるのは、定住民族だから手元にある資源を有効に活用しようとするのに対し、欧米は移住民族なので不要なものはその場で処分し新たに移転先で調達するという考え方が身についたからだとしている。単に資源がないからにすぎないのではないか。

ピラミッドの建設理由はナイル川の堤防を作るための「からみ」とデルタに対して目印を作るためだったという大胆な仮説は興味深い。

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