逆説の日本史13 近世展開編 江戸時代鎖国の謎


江戸初期から綱吉にかけての時代考証だが、相変わらずの井沢節である。
「鎖国政策」という政策は法律も含めてなかったというのが、史実をきちんと捉えよという著者の意見を強化する。
家康が恐れていたのは、キリスト教による幕府批判であって貿易は奨励しようとした。しかし、伴天連禁止令や海外渡航禁止などを経て、結果的に出島でオランダだけが貿易権を得ることになった。これを「幕府の問題先送り体質」の表れという。
もう一つ、綱吉は聖徳太子を凌ぐ歴史上の重要人物らしい。
論拠は「黄門様と犬公方」から引用して代弁させているが、吉宗の改革のスタートは既に綱吉時代にあったことや、綱吉前後で命に対する考え方が大きく変わっていることを史料の引用によって示す。生類憐みは悪評高いが、記録にあるのは誇張もあるということで、必ずしもそれを一般に言われているように「天下の悪法」とはしていない。

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