ルール

最近、ルールが厳しくなったという話をよく耳にする。
卑近な例では、駐車違反や飲酒運転だが、食品の消費期限とか原材料の表示とか、・・・枚挙に暇はない。
ペコちゃんで知られる不二家のケーキに消費期限切れの牛乳が使われていたということで騒ぎになっている。
消費期限の本来の趣旨は食品の安全確保なのだろうが、この安全水準をどこに置くかによって、ルールの意味づけが異なり運用も異なる。消費期限が過ぎたら絶対に食品として用いてはならないのか、それとも用いないほうがよいのかというレベルの違いは、市場がルールに期待しているレベルと規制を受ける側が考えているレベルとの違いだけではなく、法が目指しているレベルとを含めて3つの違いがあるのではないか。
つまり、
(1)「市場が期待するレベル」>「法が目指すレベル」>「規制を受ける側が捉えるレベル」
であれば明らかに違反だが、
(2)「市場が期待するレベル」>「規制を受ける側が捉えるレベル」>「法が目指すレベル」
であれば単純に取引上のスペックの問題であり、
(3)「規制を受ける側が捉えるレベル」>「市場が期待するレベル」>「法が目指すレベル」
であれば、企業のブランド競争力の問題である。さらには、
(4)「法が目指すレベル」>「市場が期待するレベル」というのは過剰規制である。
本来、法が目指すべきは「規制は最低限」の原則でなければならないから、(2)(3)であっても、法が目指しているレベルが高すぎた場合には、本来は(2)となるものが(1)やひどい場合には(4)になる可能性がある。
1月18日に弁護士会館で開催されたシンポで、講演者の一人であるHP社の佐藤氏が、「ルールは絶対に守らねばならない。だから善人が守れないルールは作ってはならない。」という話をされていた。本来の善人でもルールが悪人にしてしまうという含意がある。「品質の向上は競争で、消費者の保護はルールで」という原則は貫きたい。
さて、消費期限の持つ意味なのだが、その期限の決め方は適切なのだろうか。過剰規制になっていないと誰が言えるのだろうか。このような規制は一旦作ると「緩めよう」という声は出しにくい。規制の評価は難しいのである。だから、消費期限ではなく消費者に判断の余地がある製造年月日に戻しませんか。

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