小川浩・後藤康成著(2006年インプレス)
最近Web2.0なる言葉をよく見かけるようになったので本書を買ってみた。
結局、その正体ははっきりとした定義はないようだが、「事実先行」のインタネットの世界ではよくある話である。しかし、その事実先行の事実がどちらの方向に向かっているのかということについては、この本を読むとなんとなく見えてくる。
インタネットの世界では、発信された情報に対してその情報の利用者が通常は複数になる。従来のWebがその仕組みをISPが提供する1:1の通信インフラを利用することで実現していた。そこでは、情報提供者が物理的インフラを調達して、それを情報利用者が使用するという構造だった。
しかし、Web2.0の世界に入ると、情報の提供者と、利用者と、場の提供者(つまり物理インフラの存在を予見としてその上位レイヤにあたるプラットフォーム)という関係に発展してきている。この「場の提供者」という概念が、たとえば検索エンジンであったり、Wikiであったり、カスタマレビュであったり、Webサービスであったりする。
そんなイメージがなんとなく掴めたかなというところで、大胆にWeb2.0への転換を定義すると、「情報を貯めて利用させる仕組みから、情報がやり取りされる場への変化」という理解をしている。