人と組織の問題を劇的に解決するU理論入門


U理論に関する本は、数年前に「U理論」という本を買って積読状態にしたままだったが、本屋をふらついていたら偶々この本が目に入ってきたので即購入。最近は固い本を読まずにこういう解説書に頼るようになっている自分が情けないが、著者はU理論の訳者でもあり、コンサルタントとしてU理論を活用したアドバイスを業としているので、いろいろな事例が紹介されているため、分かりやすくはなっている。
とはいえ、著者のいうとおりU理論は難しい。この本でもやはり難しかったので、原書はもっと難しいのだろう(ますます読みづらくなる)。
この理論の特徴を私の独断に依ることを許されて敢えて大胆に言えば、人間の内面にある真の考えに行き着かなければ、組織の問題解決やイノベーションは生み出せないという、きわめて厳しいことを言っている。つまり一般のハウツーもののように「こうすれば、うまくいく」ということではなく、生半可なことでは問題解決はできませんということをポジティブな表現で説明しようとしている。

俗にPDCAサイクルというが、これは過去からの学習であるために、未来の問題解決は出来ないと断言。当たり前だが、PDCAが機能しないから問題を起こしているのであって、いくらPDCAを回そうがそれ自体が機能不全を起こした状態は、壊れた計測器を使って測定するような行為だ。

U理論は、これに対して次のような7ステップを経るとする。

1 Downloading
2 Seeing
3 Sensing
4 Presensing
5 Crystallizing
6 Prototyping
7 Performing

なぜU理論が難しいかというのは、4 Presensingまでは、心の内面の働きであって意図してできることではないと言っているためである。「一歩下がって、内なる叡智の出現を待ち受ける」という説明を見ればその言わんとすることはわかるだろう。

すなわちU理論をハウツー物と捉えてしまうと期待はずれに終わることになる。しかし、少なくとも組織の問題を捉える際に、分析的手法や過去の事例に学ぶということではなく、今の組織がどういう状態にあるか、特に人の気持ちがどうなっているかを考えるパースペクティブを与える概念が、ダウンローディングというところだ。

これは、「どうせまたXXXXだろう」といった人が持っている思い込みを思い込みと気づかせる概念なのだが、そのへんのファシリテーションをするのが著者の会社のビジネスのようだ。「他者の目玉」でもの見るということを言っているあたり、当たり前ではないかと思えるのだが、中々これには自分では気がつかないし出来ないことだからだ。

考え方は、他書「自分の小さな「箱」から脱出する方法」の「箱から抜け出す」ということと似ているとも言える。

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